映画『ロード・オブ・ザ・リング』感想
タイトル 『ロード・オブ・ザ・リング』
点数 4.5/5.0
・平成の終わりにやっと見た
・集中しないと置いて行かれる
・早くつづきが見たい
映画『ロード・オブ・ザ・リング』を見た。
Prime videoのマイリストにも、Netflixのマイリストにもずっと眠っていたこの作品。
どうしても3時間近い作品(しかもそれが3本)を見る気になれずに放置していた。
ただ、いよいよ平成も終わるし、10連休ということもあってついに見始めた。
見る前から心配していたことがいくつかあった。
1つ目はCGなどの映像技術や視覚効果に関する点。
もちろんこの作品が、当時の最先端技術をふんだんに使用してつくられたのは知っている。
しかし、さすがに20年近く前の作品なので、古臭く感じるところもあるだろうと心配していた。
ただ、見始めるとそんな心配は必要なかった。
単純な技術だけでなく、見せ方もうまいので今でも十分楽しんで見れた。
それでも、あと10年後とかだとどうか分からないので、このタイミングで見れてよかった。
それよりも話に集中しないと置いて行かれてしまう。
2つ目の心配が、私が『指輪物語』を全く知らないこと。
この映画も昔最初のDVDが出たころに見たような気もするけれどさっぱり記憶にない。
原作の小説もさっぱり読んだことはないし、関連作品にもほとんど触れたことがない。(ファンタジーというジャンル自体に人より関心がない。)
そんな私が前知識全くなしに見始めたために、集中して見ていないと話に置いて行かれそうになった。
素晴らしいファンタジーの世界が映し出されているのに、内容が多いためか話がどんどん進む。
しかも、悪役の「サウロン」と「サルマン」は名前が紛らわしいし、「アラルゴン」と「ボロニア」はどっちがどっちだかわからなくなりそうになる。(髪の色で見分けていた。)
初見の私には厳しいところもあったが、それでも楽しんで見ることができ、あっという間に3時間が過ぎてしまった。
大変な旅路なのに、主人公の「フロド」のことをいつも気にかけている。
森の中でピンチになったフロドが指輪をはめようとするのを止めたり、最後に一人で旅立とうとするフロドに必死でついてくる姿に心を打たれた。
そしてそんな彼の純粋さもフロドの人の良さがあるからこそで、主人公のフロドを描くうえでもサムの存在は欠かすことができないように感じた。
あと、ホビットたちの小ささにびっくりした。
身長差のある他の種族のキャラクターたちと同時に映っているシーンも多々あるのだが、とても自然な感じで一緒に映っていた。
どうやって撮影したのか大変気になるところだ。
ほかにも細かなところなど、ぜひメイキングで確認してみたい。
気持ちを整理するためにもざっと感想を書いたが、早くつづきを見たいのが本音である。
ネタバレなしでこのままいっきに見てしまいたい。
Netflixオリジナル『リラックマとカオルさん』感想
Netflixのオリジナル作品、『リラックマとカオルさん』を見た。
とてもかわいいキャラクターであるリラックマのストップモーション・アニメーションが作られると聞いて、前々から見るのを楽しみにしていた。
少し話は変わるが、「ストップモーション・アニメーション」という言葉には以前から少し違和感があった。
アニメーション(アニメ)というのは絵が動くものをいうのであって、人形を動かしてコマ撮りでつくるストップモーションは、アニメーションではないんじゃないかと思っていたからだ。
しかし、調べてみるとアニメーションというのは動画と同じ意味で、一コマずつ撮った静止画を連続して流すものをいうそうだ。
animation(アニメーション)の意味 - goo国語辞書
この記事のカテゴリーをどうしようか悩んでいたが、これで納得して「アニメ」にした。
本題に戻る。
全部で13話あるが、1話10分程度と短いのであっという間に全話見てしまった。
見ていてとにかく思ったのは、クオリティが非常に高い。
目やまゆげといった顔の表情、手や指といった細かいところまでよく動く。
監督のインタビューによるとメカニカルヘッドというものを使っているそうだ。
細かな動作があることによって、キャラクターたちの気持ちがぐっと伝わってきた。
リラックマたちの動きもとてもかわいい。
着ぐるみなので、人のように顔の表情が大きく変わるわけではないのだが、怒ったときなんかに目が横長になるのはとってもかわいかった。
あと、歩くときに背中のファスナーが揺れていたり、キャラクターによって歩く速度や歩き方が違っていたり、作品の世界の中にちゃんとリラックマたちが溶け込んでいるように感じた。
話の内容はリラックマたちと、アラサーのカオルさんとの1年間の物語。
カオルさんは仕事や人間関係、恋愛なんかに悩みながらもリラックマたちと日常を過ごしていく。
こういった女性が主人公の話は、以前からテレビのドラマなんかでよくあったが、近年は漫画やアニメでも増えているような気がする。
こういった人たちが現実で増えていて、このような作品に共感を求めているのかもしれない。
ストップモーションというのは、絵によるアニメと比べて「静」の演出に長けていると思う。
登場人物から背景にある小物まですべて同じ空間にあり、それらは人が動かすまでずっと同じところにあり続ける。
これが映像になった時に、落ち着いた静かな雰囲気を醸し出し、作品内の日常感を強く演出しているように感じた。
もっとこういった作品を見たいと思ってしまうが、作るのに2年近くかかっているらしい。
Netflixオリジナルだからこそ、これだけのクオリティの作品ができたのだろう。
素晴らしい作品だし、細かなところまで味わいながらもう一度見返したい。
余談だが、見ているとホットケーキが食べたくなったので、材料を買ってきて自分で作ってみた。
久しぶりに食べたが、なんだかとても懐かしい味だった。
バターもハチミツもなかったが、それでもおいしかった。
お店でも豪華なものが食べられるけれども、やっぱり手作りが一番かもね。
映画『ダンケルク』感想
タイトル 『ダンケルク』
点数 4.0/5.0
・多くの作品とは違う戦場
・空戦が熱い
・新たな映画の描き方
第二次世界大戦を描いた作品は多い。
ただ、この作品では「ダンケルクの戦い」という少し変わった戦闘が描かれてる。
多くの作品では、ノルマンディー上陸作戦などの連合軍側の進撃が描かれる。
しかし、この『ダンケルク』はイギリス軍がドイツ軍に追われ、本国へと逃げ帰る話なのである。
話は3つの視点から描かれる。
1つ目の視点は、ダンケルクの海岸に追い詰められた兵士たち。
ほんの少し内陸にはドイツ軍が迫っており、時たま敵の爆撃機が飛んでくる。
わずかな救助船のスペースは、負傷兵であっという間に埋まり、順番を待つ兵士たちで長蛇の列ができている。
海岸という開けた場所でありながら、ここまで重い閉塞感が感じられるのは驚いた。
この映画では敵兵がほとんど出てこない。
弾が飛んできたり、飛行機がきたりするだけで直接ドイツ軍兵が出てくることはほとんどない。
この、直接出てはこないが近くにはいる、という演出が見ている私にイギリス軍兵たちと同じ気持ちを抱かせ、重苦しい閉塞感を生んでいるのだろう。
もう1つの視点は、イギリス軍のパイロット。
有名なイギリス軍の戦闘機「スピットファイア」にのってダンケルクへと支援に向かっている。
空戦のシーンがたびたびあるが、これがカッコイイ。
YouTubeにもメイキングの映像があるが、なるべくCGを使わずに実際に飛行機を飛ばして撮影したそうだ。
ただ、実際の飛行機を使ったからだけではなくて、見せ方もうまい。
戦車などの地上での戦闘と違い、飛行機の戦闘は三次元での戦いである。
しかも、空には物がなく相対的な速度もつかみにくい。
それを二次元の画面(スクリーン)でどう表現するかは大変難しい。
実際の飛行機にカメラをつけてパイロットの姿やそこから見える景色を撮影したことも功を奏してか、大変臨場感と迫力があった。
また、空戦の勝敗を白煙という「記号」を用いて分かりやすく表現しているのも良かった。
そして3つ目の視点が、兵士たちを助けに行く民間船の視点。
兵士たちの苦しい姿を劇中で見ているからこそ、ダンケルクへ何の装備も持たない彼らが向かっていく姿に、強く心を打たれた。
これらの3つの視点は時間関係が前後しながらつながっている。
しかし、この映画では最初、この時間関係は無視して3つの視点が同時並行的に描かれ、最後になるにつれてつながっていくようになっている。
このような描き方をすることで、106分の映画でありながら2時間を超える大作のような見ごたえを感じた。
この映画では登場人物を中心としたドラマは描かれていない。
私は、見終わった後、誰が主人公だったのかも分からなかったし、登場人物の名前も誰一人として覚えていなかった。
しかし、登場人物たちが劇中で感じた恐怖や緊張、喜びは知っている。
この感覚は少し不思議な感じがした。
最後、兵士たちがイギリスに帰ってくると、世紀の大撤退に成功したことに歓喜する人々が待っている。
兵士たちは、自分たちは逃げ帰ってきたと沈んだ気持ちでいたのにもだ。
この後自分たちの頭の上にドイツ軍機が飛んでくるとはまだ思っていないのか、それともその後の反撃のために必要な活力なのか、どちらなのだろう。
ただ、暗い現実の中にも希望を見出すことは、苦しい中で生きていくために必要な力なのかもしれない。